BONDS-METHODドリル:テーマ_VS 上司編 No.2「言うことがコロコロ変わる」
「すまん、やっぱりやめだ。全部やり直し」
僕が課長として率いるチームが、一ヶ月かけたプロジェクトの最終報告を終えた直後、担当役員から告げられた一言です。
目の前が真っ暗になる、とはまさにこのこと。
部下たちの顔から色が消え、オフィスの空気は一瞬で凍りつきました。
あなたにも経験がありませんか?
上司の鶴の一声で、それまでの努力が水の泡になる、あの絶望的な瞬間。
昨日「GO」と言ったはずの人が、今日はいとも簡単に「STOP」と言う。
この理不尽な「ちゃぶ台返し」に、どれだけの時間と情熱が奪われてきたことでしょう。
かつての僕は、これを「上司の性格の問題だ」と諦めていました。
しかし、ある地獄のようなプロジェクトをきっかけに、僕は気づいたのです。
これは性格の問題ではなく、対処可能な「構造的問題」であると。
そして、この問題から自分とチームを守るための、たった一つの武器を開発しました。
それが「合意形成シールド」です。
これは、相手を言い負かすための「矛」ではありません。
感情的な衝突を避け、客観的な事実に基づいて相手に「自己矛盾」を気づかせるための「盾」です。
このシールドの使い方は、驚くほどシンプルです。
それは、あらゆる意思決定の場面で、「なぜ、そう決めたのですか?」という背景(Why)と、「もし、この決定を変えるとしたら、どんな時ですか?」という変更条件(When)を、記録に残る形で必ず合意しておく、というものです。
例えば、僕が上司に「A案で進めよう」と言われたら、すかさずこう確認します。
「承知いたしました。A案で進めます。念のため議事録に残したいので、今回B案ではなくA案を選ばれた理由と、今後どのような状況になったらこの決定を見直すべきか、教えていただけますか?」
これだけです。
これを実践してから、僕の職場で「ちゃぶ台返し」は劇的に減りました。
なぜなら、上司は方針を変えようとする度に、過去の自分自身の「論理」と向き合わなければならなくなるからです。
「なんとなく気分が変わった」という理由では、方針変更を正当化できなくなるのです。
もちろん、市場の変化など、正当な理由で方針変更が必要な時もあります。
その時も、この「盾」は威力を発揮します。
過去の合意との「差分」が明確になるため、変更に伴う追加コストやリスクを冷静に議論し、計画的に次のステップに進むことができるのです。
もしあなたが、上司の気まぐれに振り回され、心がすり減っているのなら、試してみてください。
次に何かを決める時、勇気を出して「なぜですか?」と聞いてみる。
それは、あなたの仕事人生における、最も価値ある質問になるかもしれません。
「BONDS-METHOD」の全体像や、今回ご紹介した以外の思考法について、さらに詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事もご覧ください。
あなたのマネジメントや働き方を、根本から変えるヒントがここにあります。
- BONDS-METHODの全体像や思想についてさらに詳しく知りたい
- note記事: (https://note.com/bonds_swift1981/n/nee2435a4f8e6)
- ブログ記事: (https://quadkinghd.com)
次に読んで欲しい記事
トップダウンへの対応: 「『合意形成シールド』は素晴らしい。しかし、そもそも議論の余地なくトップダウンで物事を決める上司には、どう立ち向かえばいいのか?」
責任と手柄の問題: 「ちゃぶ台返しは防げるようになった。しかし、失敗の責任は押し付けられ、成功の手柄だけ持っていく上司の理不尽さには、どう対処すればいい?」
部下への信頼醸成: 「自分が『言うことが変わる上司』にならないために、部下を信じ、一度決めたことを貫く『覚悟』を持つには、どうすればいいのか?」
テーマ案1:VS 上司編 No.3「話を聞いてくれず、トップダウンで物事を決める」
「合意形成」の次のステップとして、あなたは「そもそも対話のテーブルにつかない相手」への対処法を知りたくなります。今回のテーマの応用編として、自然な流れで深掘りできます。
テーマ案2:VS 上司編 No.4「責任を取らず、手柄だけ持っていく」
業務プロセスの問題が解決したあなたの関心は、次に「評価」や「人間関係」の理不尽さへと向かいます。より高次の悩みであり、エンゲージメントの高い読者に響きます。
テーマ案3:VS 自分自身編 No.32「自分のマネジメントに自信が持てず、決断するのが怖い」
理由: 「部下への信頼醸成」という疑問に直接答えるテーマです。あなたがプレイヤーからマネージャーへと視点を引き上げ、自分自身の課題と向き合うきっかけを提供します。
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