BONDS-METHODドリル:テーマ_VS 上司編 No.3「話を聞いてくれず、トップダウンで物事を決める」
「現場の意見は分かった。だが、これはもう決まったことだから」
会議室に響く、冷たく、重い一言。
こちらの必死の訴えも、現場の悲鳴も、この一言ですべてが無に帰す。
もし、あなたが中間管理職やチームリーダーなら、一度はこんな絶望的な場面に遭遇したことがあるのではないでしょうか。
かつての僕にとって、この言葉は「思考停止の合図」でした。
何を言っても無駄。この人には何を言っても届かない。そうやって諦め、心をすり減らし、チームの士気が下がっていくのをただ見ているだけの日々。
しかし、あるプロジェクトでの大失敗をきっかけに、僕は気づきました。
これは、上司の「性格」の問題として片付けてはいけない。
明確な「戦術」の欠如、こちらの「負け戦」なのだと。
そして、この状況を打開するために、僕は一つの武器を編み出しました。
それが「トップダウン攻略チャート」です。
これは、相手を言い負かすためのものではありません。
むしろ、まともに反論することをやめるためのツールです。
目的はただ一つ。
上司に「自分の決定のリスク」と「代替案のメリット」を、客観的な事実として突きつけ、自ら「再考した方が得策かもしれない」と思わせることです。
やり方はこうです。
上司に何かを提案する前に、まず一枚の紙を用意し、4つの箱を書きます。
- 右上:上司の決定のメリット(上司の視点)
- 左上:上司の決定のリスク(客観的データ)
- 右下:こちらの代替案のメリット(客観的データ)
- 左下:こちらの代替案のリスク(上司の視点)
この4つの箱を、感情を排して「事実」と「数字」で埋めていくのです。
例えば、上司が「コスト削減のため、Aという古いシステムを使い続けろ」と決定したとします。僕はこのチャートをこう埋めます。
- 右上: 目先のシステム投資費用がかからない。
- 左上: システムダウンによる機会損失が年間〇〇円。非効率な作業で人件費が月間〇〇円増大。
- 右下: 新システムBなら、作業効率が30%向上し、人件費を月間△△円削減可能。
- 左下: 新システムBの導入に初期費用が××円かかる。
そして、このチャートを携え、上司にこう切り出すのです。
「課長、Aシステムを継続するメリットは承知しております。ただ、年間〇〇円の機会損失リスクを回避し、さらに月間△△円のコストを削減できるB案について、一度ご検討いただけないでしょうか?」
感情的な「無理です!」「現場は大変なんです!」という訴えは、彼らにとってはただの「雑音」です。
しかし、具体的な「数字」と「選択肢」で示された提案は、無視できない「経営課題」として彼らの目に映ります。
もしあなたが、何を言っても通じない「壁」のような上司に消耗しているのなら、一度、あなたの「訴え」を、この「チャート」に変換してみてください。
あなたの声が届かないのは、声が小さいからではない。届け方が、間違っているだけなのです。
「BONDS-METHOD」の全体像や、今回ご紹介した以外の思考法について、さらに詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事もご覧ください。
あなたのマネジメントや働き方を、根本から変えるヒントがここにあります。
- BONDS-METHODの全体像や思想についてさらに詳しく知りたい
- note記事: (https://note.com/bonds_swift1981/n/nee2435a4f8e6)
- ブログ記事: (https://quadkinghd.com)
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感情的な対立: 「交渉術を試したら、上司が感情的になってしまった。相手を怒らせずに、冷静な議論に持ち込むための、より高度な心理的アプローチが知りたい」
テーマ案1:VS 上司編 No.4「責任を取らず、手柄だけ持っていく」
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「頑張ってるのに評価されない…」と嘆くのをやめたら、僕の年収が上がった話[No5]
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