BONDS-METHODドリル:テーマ_VS 上司編 No.8「現場を理解していない無茶な要求をしてくる」
「これ、来週までに頼むよ。君ならできるだろう?」
会議室に響く、上司の無邪気で、残酷な一言。
その言葉が、僕たち現場の人間をどれだけ絶望させてきたことか。
あなたにも、そんな経験はないでしょうか。
現場の状況を一切無視した、あまりにも非現実的な要求。
かつての僕は、そんな時、決まってこう返していました。
「課長、それは物理的に不可能です。今のリソースでは、絶対に間に合いません」
しかし、この「できません」という言葉は、何の解決にもなりませんでした。
それどころか、上司の表情はみるみる険しくなり、「やる気がないのか」「言い訳ばかりするな」と、事態は悪化する一方。
僕たちの間には、深い溝ができていきました。
このままでは、チームが壊れる。
そう感じた僕は、ある時から、「無理です」と真正面から反論することを、きっぱりとやめました。
代わりに、僕が使うようにしたのは、たった一つの、しかし魔法のような言葉でした。
それは、「素晴らしいですね!ぜひ、やりましょう!」という、全面的な肯定の言葉です。
例えば、上司が「そうだ!来週のイベントで、ドローンを100機飛ばして、人文字を描こう!」という、突拍子もないアイデアを言ってきたとします。
昔の僕なら、「予算も時間もありません!無理です!」と即答していたでしょう。
しかし、今の僕は、笑顔でこう返します。
「課長、最高にエキサイティングなアイデアですね!ぜひ実現させましょう!」
そして、こう続けるのです。
「ちなみに、その素晴らしいアイデアを実現するために、まず何が必要か、一緒に洗い出しませんか?ドローンのレンタル費用、プロの操縦士のアサイン、飛行許可の申請、警備計画…」
僕は、彼の「夢」を否定しません。
むしろ、その夢に乗っかり、実現するための「現実的なタスク」を、一つひとつ、彼の目の前に並べて見せるのです。
すると、どうなるか。 上司は、僕との会話を通じて、自分のアイデアが持つ「重さ(=コストや手間)」を、自ら認識し始めます。
そして、多くの場合、こう言うのです。
「…そうか。いろいろと大変そうだな。わかった、今回のドローンは見送ろう。それより、もっと現実的な方法を考えてくれ」
僕は、一度も「無理だ」とは言っていません。
しかし、結果的に、彼は自らの意思で、その「無茶振り」を撤回したのです。
「できません」は、思考停止の言葉です。
それは、対話を拒絶し、相手との間に壁を作ってしまいます。
「やりましょう!そのために…」は、思考を開始させる言葉です。
それは、対話を生み出し、相手をあなたの土俵に引き込み、共に現実的なゴールを目指す仲間へと変えてしまうのです。
もしあなたが、上司の無茶振りに心を痛めているのなら、一度、その「口癖」を変えてみてはいかがでしょうか。
あなたの使う言葉一つで、職場の人間関係は、驚くほど変わっていくはずです。
「BONDS-METHOD」の全体像や、今回ご紹介した以外の思考法について、さらに詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事もご覧ください。
あなたのマネジメントや働き方を、根本から変えるヒントがここにあります。
- BONDS-METHODの全体像や思想についてさらに詳しく知りたい
- note記事: (https://note.com/bonds_swift1981/n/nee2435a4f8e6)
- ブログ記事: (https://quadkinghd.com)
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上司同士の派閥争い: 「上司を何とか説得できても、今度は別の部署の上司から横やりが入る。社内政治や派閥争いに巻き込まれて、動きづらい」
部下からの無茶振り: 「自分がリーダーになった時、今度は部下から『それはできません』と反発されるようになった。どうすれば、彼らに納得して動いてもらえるだろうか?」
テーマ案1:VS 上司編 No.9「自分のキャリアについて、この人には相談できないと感じる」
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「君のためだ」という上司の言葉を信じてはいけない。あなたのキャリアを守る、たった一つの考え方[No9]
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