No.12:「できません」「分かりません」とすぐに諦める。
「課長、すみません。僕には、できません」
期待をかけた部下から、この言葉を言われた時の、あの無力感。リーダーであれば、誰もが一度は経験する、心が折れる瞬間ではないでしょうか。
かつての僕も、そうでした。「なぜ、やる前から諦めるんだ!」と、部下の「やる気のなさ」や「根性のなさ」を、心の中で責めていました。
しかし、ある時、僕は衝撃的な事実に気づかされたのです。部下の「できません」という言葉は、彼らの能力や意欲の問題ではなく、実は、僕自身の「ある口癖」が引き起こしているのだと。
その口癖とは、「この仕事、君に期待しているよ!」という、一見、ポジティブに聞こえる言葉でした。
良かれと思って、僕は部下を鼓舞するために、この言葉を多用していました。しかし、自信のない部下にとって、この「期待」という言葉は、「プレッシャー」という名の、あまりにも重い十字架になっていたのです。
「期待に応えなければならない」 「失敗したら、がっかりさせてしまう」
その重圧に耐えきれなくなった彼らは、「挑戦して失敗するリスク」を回避するために、「挑戦しない(=できません)」という、最も安全な道を選んでいたのです。
それに気づいてから、僕は部下への言葉のかけ方を、180度変えました。
「期待しているよ」と言う代わりに、僕はこう言うようにしたのです。 「この仕事、もし失敗しても、その責任は100%、僕が取る。だから、君は何も心配せず、思いっきり、楽しんで失敗してきてほしい」と。
そして、大きな目標をそのまま渡すのではなく、「この目標を達成するために、君が明日できる、一番簡単なことは何かな?」と問いかけ、彼ら自身に「最初の小さな一歩」を発見させる手伝いをしたのです。
「失敗してもいい」という絶対的な安心感と、「これならできる」という小さな成功体験。
この二つが揃った時、部下の「できません」という固く閉ざされた心の扉は、いとも簡単に開かれます。
もしあなたが、部下の「諦め癖」に悩んでいるのなら、一度、あなた自身の「口癖」を振り返ってみてください。
あなたは、部下に「期待」という名のプレッシャーを与えていませんか? それとも、「安心」という名の翼を、授けていますか?
その答えの中にこそ、あなたのチームが大きく飛躍するための、ヒントが隠されているはずです。
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