No.19:部下同士の仲が悪く、雰囲気がギスギスしている。
「うちのチーム、なんか雰囲気が悪いんだよな…」
挨拶もない。会話もない。業務連絡は、チャットだけ。リーダーとして、これほど辛い状況はありません。チームの成果が出ないだけでなく、自分自身の心まで、すり減っていきます。
かつての僕も、そうでした。そして、多くのリーダーが陥る、最悪の「NG行動」を、繰り返していました。 それは、**「仲の悪い部下同士を、無理やり“仲良く”させようとすること」**です。
「まあまあ、二人とも、もっとコミュニケーション取ってさ」 「チームなんだから、仲良くやろうよ」
良かれと思って、僕はこのように仲裁に入っていました。しかし、これは、火に油を注ぐだけの、最悪の愚行でした。彼らの対立は、個人の感情の問題です。そこに、上司が土足で踏み込んでも、反発を招くだけ。事態は、悪化の一途をたどりました。
では、どうすればよかったのか。
長年悩み、多くの失敗を重ねた末に、僕がたどり着いた、たった一つのシンプルな解決策。 それは、彼らの「個人的な感情」など、どうでもよくなるほどの、「共通の目的(敵)」を、チームに与えることでした。
例えば、仲の悪いA君とB君がいるとします。 僕は、彼らを個人として見るのをやめました。そして、チーム全員の前で、こう宣言したのです。
「皆に、悪い知らせがある。先月、我々の最大の競合であるC社が、新製品を出し、我々のシェアを5%も奪っていった。このままでは、我々の部署の存続も危うい。これは、A君とB君の好き嫌いの問題ではない。我々全員の、生活がかかった問題だ」
そして、こう続けました。 「この危機を乗り越えるための戦略を、全員で考える。A君の分析力と、B君の実行力が、今、このチームには必要だ。力を貸してくれ」
最初は、訝しげだった彼らも、「チームの存続」という、自分たちの利害に直結する大きな目的の前では、個人的な感情を、一旦、横に置くしかありません。
そして、共同作業を通じて、お互いの強みを認め合い、「あいつ、嫌いだけど、仕事はできるな」と感じ始めた時、チームの空気は、少しずつ、しかし確実に変わり始めるのです。
もしあなたが、チームの人間関係に悩んでいるなら、覚えておいてください。 リーダーの仕事は、「仲裁」ではありません。 個人の感情的な対立など、些細なことに思えるほどの、魅力的で、少しだけ危機感のある「共通の物語」を、チームに提示することなのです。
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