[マネジメント]トヨタ自動車が2023年4月1日付けの新人事を発表。次期社長 佐藤恒治氏の挨拶全文

スポンサーリンク
[マネジメント]トヨタ自動車が2023年4月1日付けの新人事を発表。次期社長 佐藤恒治氏の挨拶全文 マネジメント
スポンサーリンク

佐藤 恒治・次期社長ご挨拶

トヨタ自動車(株)(以下、トヨタ)は、2023年3月1日付、2023年4月1日付の役員人事、幹部職人事および第119回定時株主総会日付の取締役の体制について発表しました。

豊田社長の13年間への想い

皆様、こんにちは。佐藤です。本日は、急なご案内にも関わらず、ご参加いただき、誠にありがとうございます。

はじめに、トルコ、シリアの地震で被害に遭われた皆様にお見舞い申し上げますとともに、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。

本日、私からは、4月からの新体制についてご説明申し上げます。

新体制のテーマは「継承と進化」です。

私たちが継承すべきもの。それは、この13年間、豊田社長が土台をつくってきた「商品と地域を軸にした経営」です。

この13年で、TNGAやカンパニー制の導入により、素性の良いクルマづくりと開発効率の向上を実現してまいりました。

こうした「クルマづくりの基盤」を生かし、「町いちばんのクルマ屋」を進めてきた結果、グローバルでバランスの取れた事業構造に変わりました。

損益分岐台数は、仕入先の皆様と取り組んできたモノづくり改革や体質強化により、リーマン・ショックの頃と比べて3割以上も改善いたしました。

そして、何よりも大きな財産は、トヨタに浸透した「もっといいクルマをつくろうよ」という価値観です。

機能軸ではなく、クルマ軸。議論よりも、現場で、まず行動する。お客様の笑顔のために、必死に努力をする。こういったクルマづくりの原点を大事にする会社、「クルマ屋」と言える会社に、トヨタは変わってきたと思います。

4月からは、この「豊田 章男経営」を新体制で実践してまいります。

クルマづくりの3テーマ

そして、新体制で目指す進化は、「モビリティ・カンパニーへの変革」です。

そこには、クルマづくりにおける3つのテーマがあります。「電動化」「知能化」「多様化」です。

電動化

まず、電動化です。私たちの暮らしを支えているのは、エネルギーです。

トヨタがやるべきことは、エネルギーセキュリティを視野に入れたクルマをつくること、そして、カーボンニュートラル社会の実現に貢献することです。

世界を見渡すと、エネルギーの状況は様々です。

世界中のお客様に寄り添い、多様な選択肢をお届けしたい。だからこそ、「マルチパスウェイ」をブラさずに、全方位で取り組んでまいります。

そのマルチパスウェイにおいてバッテリーEV、BEVも重要な選択肢です。

これまで豊田マスタードライバーのもとで、トヨタらしい、レクサスらしいBEVをつくる準備を進めてまいりました。その取り組みの中で、自分たちが目指すBEVのあり方が見えてまいりました。

機が熟した今、従来とは異なるアプローチで、BEVの開発を加速してまいります。

具体的には、足元でのラインナップを拡充するとともに2026年を目標に、電池やプラットフォーム、クルマのつくり方など、すべてをBEV最適で考えた「次世代のBEV」をレクサスブランドで開発してまいります。

知能化

二つ目は知能化です。クルマと対話し、クルマをもっと安全に、快適に、楽しいものにしてまいります。

私は、「クルマ屋にしかできない知能化」があると思っています。

ドライバーの操作やタイヤの状態など、クルマには膨大な情報が流れています。そこには、「クルマ屋にしか活用できない情報」がたくさんあります。

クルマの声をもっと聴き、情報を高度に統合制御できれば、燃費を良くしたり、乗り味を変えたり、安全運転をサポートしたり、お客様おひとりおひとりに合わせて、クルマの価値を高めることができます。

そんな世界を目指すのが、ソフトウェア基盤のAreneです。Areneは、販売店との連携やアプリを通じた新しいサービスにもつながってまいります。

ハードとソフトの両輪で、クルマの知能化に取り組んでまいります。

多様化

そして3つ目、多様化です。

トヨタは世界中で、事業を行っています。地域ごと、世代ごとに、お客様の多様なニーズや価値観があります。だからこそ、商品もサービスも、多様な選択肢が必要です。

例えば、昨年、タイで披露したIMV0。仕事で使うお客様のニーズに向き合い、架装のしやすさを追求しています。

「グローバル・フルラインナップ」の会社だからこそ、地域に寄り添い、多様なニーズにお応えするクルマづくりを進めてまいります。

重点事業3本柱

これら3つのテーマを実現するために新体制が取り組む重点事業の3本柱があります。

一つ目は、「次世代BEVを起点とした事業改革」です。

魅力的なBEVをより多くのお客様にお届けするには、クルマの構造を合理化し、BEVファーストの発想で、モノづくりから販売・サービスまで、事業のあり方を大きく変えていく必要があります。その変革をリードするのが、レクサスです。

二つ目は、「ウーブンの取り組み強化」です。

新たなモビリティ社会の創造に向けて、社会インフラまで含めたモビリティのあり方を、トヨタとともに考える。それがウーブンの使命です。

私たちが考えるクルマの知能化を推進するうえでも、重要な役割を担っています。

だからこそ、今まで以上に、トヨタとウーブンが一体となって、Areneの開発を加速させるとともに、モビリティのテストコースの街であるウーブン・シティでの実証実験を、強力に進めてまいります。

そして、三つ目は、「アジアのカーボンニュートラルの実現」です。

タイ最大の民間企業CPグループとのパートナーシップを機軸に、産業や国を越えた連携を通じて、電動化やモビリティの実証を進めてまいります。

これら3つの柱について、新体制で、具体的な取り組みを、チームで詰めてまいります。

新体制の布陣

私たちの「チーム経営」。その特徴は、サッカーのチームのように、柔軟にフォーメーションを変えていくことだと思っています。その根底にあるのは、「適材適所」、「肩書より役割」という考え方です。

まず、これまでトップの間近で経営を学んできた副社長の3人は、重点3事業の陣頭指揮を現場でとっていきます。

近副社長は、ウーブン・バイ・トヨタ専任のCFOとして、カフナーCEOとともに、ウーブンの改革を推進します。

前田副社長は、アジア本部長として、「新興国らしいカーボンニュートラルの山の登り方」を考え、「CASE技術の社会実装」をテーマに、新しいアジア戦略をリードします。

桑田副社長は、トヨタ自動車九州の副社長も務め、レクサスのBEV事業戦略と、レクサス専用工場である九州の生産体制再構築を推進します。

執行役員は、カンパニープレジデントや地域本部長を中心に、「商品と地域を軸にした経営」を実践する体制にいたしました。

中嶋と宮崎の両・新副社長は、「商品」と「地域」を軸に統括します。

北米の小川本部長と中国の上田本部長は新たに執行役員として「地域軸の経営」を、ハンフリーズ新CBOはブランドづくりをリードしてまいります。

現在、トヨタコンパクトカーカンパニーを担当する新郷プレジデントは、競争力のある生産体制づくりを推進します。

すべての土台となるステークホルダーとのコミュニケーションは、引き続き、長田執行役員がリードしてまいります。

そして、私、社長の役割は、キャプテンとして、「チームの力を最大化すること」であると思っています。現場の声にしっかり耳を傾け、リーダーたちの多様な個性を生かしながら、チームをまとめてまいりたいと思います。

最後に

自分自身も含め、新体制の多くのメンバーは、豊田社長の社長就任時、まだ課長や係長クラスでした。

この13年間、現場で、たくさん挑戦し、たくさん失敗を重ねる中で、「もっといいクルマづくり」「町いちばんのクルマ屋」という価値観を、様々な立場で、学び続けてまいりました。

そのおかげで、トヨタには、多くの経営を担える人材が育ちました。だからこそできる「ワンチームでの経営」で、「継承と進化」に全力で取り組んでまいります。

皆様からの温かいご指導とご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

本日は、ありがとうございました。

コメント